<PIG> について

私がインダストリアル周辺の音楽に触れたことはすでに記したが、1980年前後のインダストリアル・ミュージックと、ミニストリー以降のインダストリアル・ロックと両方とも当時、うまくCDを買い集められたのは良かったと思っている。
だって、あの当時でなければ集められなかったもの、たくさんあったのではという気がしているので。
実際は分からないが。

そして私は<PIG>を知る。
どのようにして知ったのか覚えていない。
当時のアルファレコードが宣伝頑張ったのだろうか。
<PIG>はレイモンド・ワッツによるソロ・プロジェクト
レイモンド・ワッツは初期KMFDMのメンバーでヴォーカルやプログラミングを務め、エンジニアを務めたこともある。
フィータスのライブでキーボードやギターをプレイしたことも。
(レイモンド・ワッツはフィータスのライブ・アルバム RIFEではメンバーのひとりとしてクレジットされている。)
後にはBUCK-TICK今井寿とソフト・バレエの藤井麻輝のユニットのSCHAFTにヴォーカリストのひとりとして参加したことも。
(作詞・作曲もあり。)
BUCK-TICK櫻井敦司今井寿、KMFDMのサシャ・コニエツコとレイモンド・ワッツが組んだSCHWEINではヴォーカル、プログラミング、ギターで参加。
BUCK-TICK櫻井敦司のソロ・アルバムでは作曲・編曲で参加している。

<PIG>を初めて聴いたのは、通算三枚目となるアルバム、The Swining。
日本では初となるアルバムをリリースしたときだった。

一曲目の The Fountain of Miracles がやたらかっこいい。

当時持っていたポータブルCDプレーヤーで聴いていた。
パナ⚪ニックの。
リモコンにボタンがひとつだけで、ボタンを押す回数や押す長さで再生とか停止とか、けっこう使いやすかった。
ところでThe Swining、最初のころは実は最後まできっちりと聴いたことがなかった。
最後の曲が遅めで勢いがないと思って、その曲が始まると前の曲に戻して聴いたりしていた。
ある日、アルバムを聴いていて眠ってしまった。
目を覚ますと、やたらかっこいい音がする。
え、なに、この曲と思ったのだが、それが最後に収められていた8曲目の Symphony for the Devil 。
12分43秒もあるこの曲、はじまりは少しテンポが遅いので聴かなくていいやと思っていたのだが、実は途中から早い曲に変わるのだ。
びっくりした。
そしてこの曲が大好きになった。
今聴いてもめちゃくちゃかっこいい。

ライブにも行った。
かっこよかった。
この時、物販でCDを買うとサインが貰えるということで、持っていなかったミニアルバム Red Raw & Sore を購入した。
貰ったのはサイン入りの色紙。
サインって当時は阪神タイガースの掛布選手以来だった。
今もまだ持っていると思う。

レイモンド・ワッツはBUCK-TICK今井寿、(当時)SOFT BALLET藤井麻輝によるSCHAFTのアルバム SWITCHBLADEに参加。
SWITCHBLADEではほとんどの曲でボーカルと作詞を担当し、2曲では単独で作曲、5曲では共作している。
その後にはSCHAFTのライブにも参加している。
この時のライブはVHSでSWITCHBLADE -VISUAL MIX- として映像化された。
この時のSCHAFTは2016年にBOX ARCHIVESにまとめられた。
アルバム SWITCHBLADEとリミックス・アルバム SWITCH Remixがリマスターされ、ビデオ SWITCHBLADE -VISUAL MIX- がCD化とDVD化されて3CD+DVD+BOOKLET仕様となっている。

1995年、<PIG>はビクターに移籍。
アルバム Sinsation 、アルバム Wrecked をリリース。
アメリカでもSisation、Wreckedはnothingレーベルからリリースされたのだけど、日本盤と米盤は同じアルバムでも何曲か違ってたり、ミックスが違ったりしていたので、日本盤と米盤の両方買わなければいけなかった。

あと、何年か後になってアルバム The Swining がアメリカでもリリースされた。
CleopatraレーベルからThe Swiningとミニアルバム Red Raw & Sore が一枚に収められてリリースされたのだけど、ジャケが変更されてミックスが異なる曲があったり、Symphony for the Devil が少し短くなって収められていた。

<PIG>大好きだったけど、日本盤と米国盤買わなければとかその辺苦労したなー。
楽しみでもあったけど。
あとファースト・アルバム A Poke in the Eye... With a Sharp Stick 、セカンド・アルバム Praise the Lard 、ミニアルバム Hello Hooray とかももちろん買いましたよ。
サイドプロジェクトの Sow も。
1999年のアルバム Genuine American Monster までは付き合いましたよ。
でも、Symphony for the Devil に匹敵する曲が産まれなかったのが残念。