THE THE について

「当方はレジデンツシド・バレットスロッビング・グリッスルヴェルヴェット・アンダーグラウンドに影響を受けました」

これはマット・ジョンソンが1977年にNME誌にバンドメンバー募集を掲載したときの文面の一部。
個人的にはここに並べられたアーティスト名すべてに興味がある。
というかだいたい好き。
特にレジデンツ

マット・ジョンソンは1979年にTHE THE を結成した。
アルバム スピリッツ をレコーディングしたが、このアルバムはいまだ未発表。
このときのトラック What Stanley Saw はチェリー・レッド・レコーズのコンピに収録された。
マット・ジョンソン名義。
どことなくポップな感じの曲。
聴いた感じ、確かにTHE THE っぽいかも。

1981年にはサム・ビザールのコンピにUntitled を提供した。
マット・ジョンソン名義。
YouTubeで聴いてみたけど、THE THE っぽい感じはない…。
この時のサム・ビザールにはスワンズ、フィータスもレコード契約をしていた。
マット・ジョンソンもサム・ビザールの居間で作曲をしたりしていた。
そういえばフィータスもそうだけど、21世紀に入ってからは THE THE は映画のサントラを手掛けて既に数枚リリースしている。
フィータスもサントラ仕事がメインのようになったし。

THE THE はマット・ジョンソンひとりとなり、1981年末に4ADレコードと契約してアルバム バーニング・ブルー・ソウル をレコーディングした。
ボーカルとすべての楽器はマットひとりで演奏された。
アルバム バーニング・ブルー・ソウルにはアーティスト名として「マット・ジョンソン」と記されたが、以後の再発では THE THE 名義となった。

1983年、THE THE のデビュー・アルバム 魂の彫刻 をリリース。
プロデュースはマット・ジョンソン&ポール・ハーディマン 。
ゲスト・ミュージシャンにジーク・マニーカ(オレンジ・ジュース)、ジュールス・ホランドスクイーズ)など。

個人的には1曲目の I've Been Waitin' for Tomorrow (All of My Life) がはじめて聴いたときから好きだった。
シングルカットはされなかったけど、PVが制作された。

7曲目の GIANT にはフランク・ウォント、←フィータス が参加。
2002年のリマスター盤での表記は ジム・サーウェル となっていた。

アルバム インフェクテッド
プロデューサーは、ロリ・モシマン、ウォーン・リヴゼイ、ゲイリー・ランガン
アン・ダッドリーもbrass arrangementでクレジットされている。

ドラムはデヴィッド・パーマー。
この次のアルバム マインド・ボム では THE THE の正式メンバーとなった。
ちなみにデヴィッド・パーマーはABCのファースト・アルバム、そのツアーでドラムを叩いていて、そのABCを辞めてYMOの散開ライブでもドラムを叩いた。
また、TM NETWORKのアルバム CAROLに参加し、数曲でドラムを叩いている。

アルバム インフェクテッドは全8曲。
全曲分のPVが制作されてビデオ化もされた。
ディレクターはティム・ポープやピーター・クリストファーソンなど。
ピーター・クリストファーソンはInficted、Heartland、The Marcybeatのビデオを撮った。

アルバム マインド・ボム を1989年にリリース。
プロデュースはウォーン・リヴゼイ&マット・ジョンソン / ロリ・モシマン&マット・ジョンソン。
このアルバムで THE THE は

マット・ジョンソン(ヴォーカル、ピアノ、ギター他)
ジョニー・マー(ギター)
ジェイムズ・エラー(ベース)
デヴィッド・パーマー(ドラムス)

の4人によるバンドとなった。

ファースト・シングル The Beat(en) Generation、宗教戦争を真正面からとらえた Armageddon Days Are Here (Again)、ゲスト・ミュージシャンとして シンニード・オコナー が参加した Kingdom of Rain など計4曲がシングル・カットされた。

ロイヤル・アルバート・ホール3夜連続公演を皮切りに初めてのワールド・ツアー The The vs The World を敢行した。
初来日公演も実現した。

1992年にはアルバム ダスク をリリース。
キーボードのD.C.コラードが正式メンバーとして参加し、THE THE は5人体制となった。
デヴィッド・パーマー は4曲でドラムを叩いたが、アルバム制作途中で解雇された。

1993年には米国ではアルバム ダスク にカセットが付けられていたようで、スタジオ・ライブから全7曲入りのテープが付いていた。

ツアーではD.C.コラード以外のメンバーが総入れ替えとなり、6人体制でライブは行われた。

マット・ジョンソン(ヴォーカル、ピアノ、ギター他)
キース・ジョイナー(ギター)
ジャレット・ニッカーソン(ベース)
アンディ・クビゼウスキー(ドラム)
D.C.コラード(キーボード)
ジム・フィッティング(ハーモニカ)

ジョニー・マーでさえクビですか。

This Is the Dayなど3曲が再録され、This Is the DayはThis Was the Day としてミニ・アルバム ディスインフェクテッドEP+ライブ が発売された。
全7曲収録で、5~7曲目はライブ音源。

オリジナルのヴァージョンより好き。

米国ではミニ・アルバム SOLITUDEとして発売された。
全9曲入り。
イギリスで発売されたEP Dis-infected と Shades of Blue それぞれの収録曲に This Was the Day が追加された内容だった。

1995年、マット・ジョンソンはニューヨークに移住。
カントリー界のシンガー・ソングライターハンク・ウィリアムスの全曲カヴァー・アルバム ハンキー・パンキー をリリースした。

2000年、トレント・レズナーのナッシング・レコード(ユニバーサル / インタースコープ)に移籍。
アルバム ネイキッドセルフ をリリースした。

2002年、デヴィッド・ボウイがキューレーターを務めたメルトダウン・フェスティバルが行われた。
THE THEとして出演し、そのステージではジム・フィータスと共演した。

この時期からマット・ジョンソンはニューヨークを離れてスウェーデンのゴッセンバーグに住んでいたようだ。

THE THEはシングル・コンピレーション 45RPMコレクション をリリース。
リマスターされた全15曲を収録。
過去のシングル曲にアルバム ネイキッド・セルフ 収録曲の DecemberSunlightの別ヴァージョン、そして新曲が2曲収録された。
Pillar Box Red と Deep Down Truth 。

アルバム 45RPMコレクション は国内盤では1枚ものだったが、輸入盤では限定でCD2枚組仕様が発売された。
スリーヴケース付き。
その限定盤のCD2には80年代の12インチ・シングルに使用されたミックス8曲が収録された。

続いてエピック時代のアルバム 魂の彫刻、インフェクテッド、マインド・ボム、ダスク はリマスターされ、新たなジャケットでリイシューされた。
輸入盤はそれぞれスリーヴケース付き。
各盤、ブックレットをめくるとオリジナルのオリジナルのジャケット絵も載せられている。
折ってプラケースに入れろ、とか書いてあるけど、イヤだよ。
輸入盤ではプラケースにスリーヴケースに入れられていたが、国内盤はスリーヴケースがなかった。
過去に出たCD盤では12インチ・ヴァージョンなども追加収録されていたが、リマスター盤では追加曲は一切なし、という強気姿勢。
リマスター盤のブックレットにはディスコグラフィが記されていたがアルバム Spirits、The Pornography of Despair、Gun Sluts といった未発表のアルバムも。
未発表アルバムにはきちんと(Unreleased)と記されていたけど。

・エピック時代の4枚のアルバムは London Town 1983-1993 Box Set  というボックスでもまとめられた。
CD5枚組で、5枚目にはマルチメディア・ディスクというのが付属した。

さらに、

・ボックス Bed Shit Land
エピックと契約する以前のアルバム バーニング・ブルー・ソウル、The Pornography of Despair(未発表)、Spirits(未発表) を収録したボックスセット。

・ボックス New York City
エピック時代以降のネイキッドセルフ、Gun Slutsヲ、収録したボックスセット。

・ボックス Silent Tongue
ザ・ザによるインストゥルメンタル音楽と映画音楽を集めた ボックスセット。

・初期の音源と映像のDVDボックス

などをマット・ジョンソンは発表するつもりだったらしいが、実際にリリースされたのは London Town だけだったはず。
あと、ベスト・アルバム 45RPMの第2弾、さらに第3弾も予定していたけど…。

2007年にはシングル Mrs Mac をリリース。

2017年にはレコードストアデイ限定発売で15年ぶりのシングル We Can't Stop What's Coming を発表した。

この曲にはジョニー・マーが参加した。
もちろんギターで!
ちなみに ジョニー・マー にはかつて参加したバンドで、また仕事をしたいとして THE THE とモデスト・マウスの二組をあげている。

ラジオ・シネオラ:トリロジー が発売された。
3枚組のセットで1枚目のThe End Of The Dayにはシングル We Can’t Stop What’s Coming のほかは THE THE の曲をさまざまなシンガーによる歌唱。
2枚目 The Inertia Variations はTHE THEが制作した音にJohn Tottenhamの詩に関するマット・ジョンソンのナレーションが載ったもの…。
3枚目 Midnight To Midnight はマット・ジョンソンのインタビューやサウンドスケープなど。

2018年には久しぶりにライブを行った。
カム・バックと呼ばれ、このライブはライブ・アルバム Comeback Special : Live At The Royal Albert Hall  としてリリースされた。
2021年にはアナログ盤化された。

2019年カセットストアデイ限定で SEE WITHOUT BEING SEEN が発売された。
1979年にカセットテープでのみ限定発売されていたもの。
その後行方不明になっていると思われていたマスターテープが見つかって再発された。
2020年にCD化され、当時の未発表曲6曲が追加されて全13曲を収録。

2020年のレコードストアデイでシングル I WANT 2 B U が発売された。
スリーヴにはアンディ・ジョンソンによるアートワークが使用された。
シングル I WANT 2 B U は映画 Muscleで使用された I WANT 2 B U と Velvet Muscle Scream を収録。
 I WANT 2 B U はThis Is the Dayで使用されたキーボードっほい音色とか懐かしい感じ。

2023年、シングル $1 ONE VOTE! をリリース。

アルバム ネイキッドセルフ以降、THE THE はシングルや4種のサウンドトラックは発売したが、オリジナル・アルバムはなし…。

ところで同じイギリス人でデビュー時期が近く、これまで発表したアルバムの枚数などでケイト・ブッシュを思い出した。

ケイト・ブッシュ、65歳。
1978年19歳でデビュー。
しかもデイヴ・ギルモアのプロデュースで、シングル 嵐が丘
やはりこの人はやはりスゴいのだなあと思ってしまう。

フィータスことJGサールウェル、63歳。

マット・ジョンソン、61歳。
1979年デビュー。
ケイト・ブッシュよりマット・ジョンソンのが若かった!

ところで、日本語でマット・ジョンソンを検索したら、ジャミロクワイのキーボーディストが検索されてしまうってのが難点…。